約数和が2の冪となるには異なるメルセンヌ素数の積になることが必要十分

問題

$\sigma(n)$を自然数$n$の正の約数の総和関数とします。 このとき, $\sigma(n)$が$2$のべき乗となる必要十分条件は$n$が相異なるメルセンヌ素数の積であることを証明してください。


難易度:
メルセンヌ素数についての練習問題

解答

十分性の証明

まず, $n$が相異なるメルセンヌ素数の積と仮定して, $\sigma(n)$が$2$のべき乗であることを証明します。 つまり, $n = p_1p_2\cdots p_k$, 各$p_i$は相異なるメルセンヌ素数, と仮定します。

約数和関数$\sigma$が乗法的であるという性質を用いて \begin{align*} \sigma(n) &= \sigma(p_1p_2\cdots p_k)\\ &=\sigma(p_1)\sigma(p_2) \cdots \sigma(p_k) \end{align*} と書けます。 そこで各$\sigma(p_i)$が$2$のべき乗であればよいことがわかるので, これを示します。

メルセンヌ素数の定義から$p_i=2^{a_i}-1$, $a_i \in \N$の形に書けます。 素数の約数は$1$と自分自身なので \[\sigma(p_i)=1+p_i = 1 + (2^{a_i}-1)=2^{a_i}\] を得ます。 $2$のべき乗の積も$2$のべき乗なので$\sigma(n)$も$2$のべき乗になることが証明されました。 これで十分性の証明を終わります。

必要性の証明

次に, $\sigma(n)$が$2$のべき乗となる自然数$n$が相異なるメルセンヌ素数の積であることを証明します。

自然数$n$の素因数分解を \[n = p_1^{\alpha_1}p_2^{\alpha_2} \cdots p_k^{\alpha_k}\] とします。 ここで各$p_i$は素数であり, $\alpha_i \in \N$です。

約数和関数$\sigma$の乗法性を用いると \begin{align*} \sigma(n) &= \sigma(p_1^{\alpha_1}p_2^{\alpha_2} \cdots p_k^{\alpha_k})\\ &= \sigma(p_1^{\alpha_1})\sigma(p_2^{\alpha_2}) \cdots \sigma(p_k^{\alpha_k}) \end{align*} を得ます。 仮定より$\sigma(n)$が$2$のべき乗なので, 各$\sigma(p_i^{\alpha_i})$も$2$のべき乗となります。

示すべきことは, これら$p_i$がメルセンヌ素数であることと, $\alpha_i =1$となることです。 添字$i$を書くのを省略して, \[\sigma(p^{\alpha}) = 2^{s}\] となるような素数$p$と自然数$\alpha, s$を考えます。

左辺の約数和を計算すると \[1+p+p^2+\cdots + p^{\alpha} = 2^{s}\] となります。 右辺が偶数であることから$p$は奇素数である必要があります。 すると, 左辺は$\alpha+1$個の奇数の和であるので, それが偶数であるためには$\alpha$が奇数である必要があります。 そこで, $\alpha = 2\beta +1$とある整数$\beta$を用いて表します。

これを使うと上の和を次のように因数分解できます。 \begin{align*} 1+p+p^2+\cdots + p^{\alpha} =& 1+p+p^2+\cdots + p^{2\beta+1}\\ =& (1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta})\\ \quad \quad &+(p+p^3+\cdots + p^{2\beta+1})\\ =& (1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta})\\ \quad \quad &+p(1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta})\\ =& (1+p)(1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta}) \end{align*}

この式が$2^s$に等しいことから \begin{align*} p+1 &= 2^{t} \tag{1}\\ 1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta} &= 2^u \tag{2} \end{align*} となる整数$t, u$ ($s=t+u$)が存在します。 ゆえに, $p=2^t -1$の形に書けるので$p$はメルセンヌ素数になることが示されました。

残るは$\alpha=2\beta+1$が$1$であることを証明することです。 仮に$\alpha \neq 1$とします。 これは$\beta > 0$と同じです。

すると式(2)から$u>0$であり両辺が偶数になること, また左辺は$\beta+1$個の奇数の和より$\beta$が奇数である必要があることがわかります。 そこである整数$\gamma$を用いて$\beta = 2\gamma + 1$と書きます。

これより式(2)の左辺が次のように因数分解されます。 \begin{align*} 1+p^2+p^4+\cdots +p^{2\beta} =& 1+p^2+p^4+\cdots + p^{4\gamma + 2}\\ =& (1+p^4+p^8+\cdots +p^{4\gamma})\\ \quad \quad &+(p^2+p^6+\cdots + p^{4\gamma + 2})\\ =& (1+p^4+p^8+\cdots +p^{4\gamma})\\ \quad \quad &+p^2(1+p^4+p^8+\cdots +p^{4\gamma})\\ =& (1+p^2)(1+p^4+p^8+\cdots +p^{4\gamma}) \end{align*} 最後の積が$2^u$に等しいことから$1+p^2=2^v$となる整数$v$が存在します。

この式に式(1)を代入すると \begin{align*} 2^v &= 1+p^2\\ &=1+(2^t-1)^2\\ &=1+2^{2t}-2^{t+1}+1\\ &=2(2^{2t-1}-2^t+1) \end{align*} となります。

ここで$p=2^t-1$が素数であるから$t > 1$であり, そこから$2^{2t-1}-2^t+1$が$1$より大きい奇数であることがわかります。 しかし上式の始めをみると, この式は$2$のべき乗であるからこれは矛盾です。 この矛盾は最初に「$\alpha \neq 1$」と仮定したことから生じました。 よって$\alpha = 1$であることがわかりました。

まとめると, $\sigma(p^{\alpha})$が$2$のべき乗であるなら$p$はメルセンヌ素数, $\alpha = 1$であることがわかりました。 これより, $n=p_1p_2\cdots p_k$で各$p_i$がメルセンヌ素数と書けることが証明されたので, 必要性の証明を終わりにします。

わからないところがあったらテキストを復習しましょう。

メルセンヌ素数について

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